アンカーネットワークサービス福祉事業部です。
就職活動では、「どんな仕事をするか」に目が向きやすいものです。しかし、長く安定して働くためには、仕事内容だけでなく「どのような環境で、どのような人と働くのか」も大切な要素になります。
今回は、ディーキャリア平井オフィスを卒業し、現在は株式会社アンカーネットワークサービス(ANS)で働いているAさんの事例をご紹介します。
Aさんは約2年間の通所を通して自己理解を深めるとともに、複数の企業実習を経験しました。その中で、自分に合った働き方や職場環境を整理しながら就職活動を進め、現在は総務担当として活躍されています。
Aさんプロフィール
- 30代
- 男性
- ASD・ADHD
- ディーキャリア通所期間:約2年
「周囲に理解してもらう」から「自分を理解する」へ
Aさんはディーキャリアを利用する前、イレギュラーな出来事に直面すると解決方法を見いだせず、報連相やマルチタスクが難しくなることがありました。
その結果、仕事を継続することが難しくなる経験を重ねてきたといいます。
通所前は、自分の困りごとについて「周囲から十分に理解されない」と感じることが多かったそうです。
しかし、訓練を重ねる中で、自分自身の特性や苦手な場面を理解することの大切さに気づきました。
自己理解が就職活動の土台になる
ディーキャリアでは、
- どのような場面で困りやすいのか
- どのような配慮があると力を発揮しやすいのか
- 自分の状況をどのように伝えると理解してもらいやすいのか
を整理していきます。
Aさんも自己理解を深めることで、自分の困りごとを整理し、必要な配慮を周囲へ伝えられるようになりました。
そうした積み重ねが、就職活動やその後の職場定着にもつながっています。
企業実習を通して変わった「会社を選ぶ基準」
最初は仕事内容を重視していた
就職活動を始めた頃のAさんは、事務や総務関連の業務を中心に検討していました。
前職で培った経験や知識を活かせること、自分が希望する仕事内容であることが重要な判断基準だったそうです。
実際の職場を経験して見えてきたこと
複数の企業実習を経験する中で、Aさんの職場を見る視点は少しずつ変化していきました。
仕事内容だけではなく、
- 自分の特性に応じた配慮を受けられる環境か
- 一緒に成長や課題解決に向き合ってくれる人がいるか
- 従業員同士の報連相やコミュニケーションの雰囲気はどうか
- 集中して仕事に取り組める環境か
といった点も重視するようになったといいます。
企業実習を通じて、仕事内容だけでなく職場環境や人との関わり方も、働き続ける上で大切な要素であることを実感したそうです。
ANSでの企業実習から、現在の就職へ
Aさんは平井オフィスへ通っていた頃から、運営会社であるANSで企業実習を行う機会があることを知っていました。
その後、支援員から声をかけてもらったことをきっかけに、3月から4月にかけて合計2週間の企業実習へ参加しました。
実習で感じた手応え
実習では、前職で培った経験や知識を活かしながら業務に取り組みました。
その中で、
- 自分の力を発揮できている
- 業務へ貢献できている
- 実際に働くイメージを持てる
といった手応えを感じたそうです。
また、実習後の振り返りでは歓迎の言葉を受け、「ANSの一員として働きたい」という気持ちがさらに強まりました。
その後、選考を経てANSへ入社し、現在に至っています。
企業実習は就職先を決めるためだけではなく、自分に合う働き方や必要な配慮を整理する機会でもあります。Aさんの場合は、その経験を通じてANSで働くイメージを具体的に持つことができ、その結果として就職につながりました。
就職後も、「自分を知ること」が仕事に生きている
現在Aさんは、ANSの人事総務部で総務業務を担当しています。
担当している主な業務
- 仕出し弁当の発注
- 購買品・名刺の発注
- 請求書処理
- 郵便物の仕分け
- 契約書類の捺印・スキャン・ファイリング
- 社内報の作成
- 各種資料作成
など、幅広い業務を担当しています。
相談できる環境が支えになっている
総務という仕事の性質上、予定どおりに業務が進まないことや、優先順位の判断に迷う場面もあります。
そのようなときも、同じチームのメンバーへ気軽に相談できる環境があり、それが安心感につながっているそうです。
就職後も続けているセルフケア
Aさんは現在も、ディーキャリアで身につけたセルフケアを実践しています。
例えば、
- ストレスサインに早めに気づく
- 体調や気分の変化を確認する
- 困りごとを言語化する
- 必要なタイミングで相談する
といったことを日常的に行っています。
訓練を重ねたことで、自分の苦手な状況やストレスへの対処方法を理解できるようになり、イレギュラーな出来事が起きても以前より冷静に対応できるようになったといいます。
企業実習が果たす大切な役割
ディーキャリア平井オフィスでは、就職活動の一環として企業実習を活用しています。
その選択肢の一つとして、運営会社であるANSで企業実習を行う機会も設けています。
ご本人の希望や状況、企業側の受け入れ体制などに応じて、
- 人事事務
- 経理事務
- 情報システム
- 広報
- 一般事務
- PCキッティング
- 軽作業
など、実際の仕事に近い業務を経験することができます。
企業実習の目的は、単に「この仕事ができるかどうか」を確認することだけではありません。
実際に働く経験を通して、
- 自分にはどのような仕事が合っているのか
- どのような環境なら力を発揮しやすいのか
- 働き続けるためにどのような配慮や工夫が必要なのか
を具体的に整理し、その後の就職活動に活かしていくことを大切にしています。
なお、ANSでの企業実習は、ANSへの就職を前提としたものではありません。
今回のAさんのケースは、企業実習を経てANSへの就職につながった一つの事例です。
実習先は就職先を限定するものではなく、さまざまな選択肢の中からご本人が自分に合った働き方や職場環境を考えるための機会として活用しています。
支援員が感じたこと
Aさんの事例を通して改めて感じるのは、「自己理解」と「実際の経験」の大切さです。
求人票や企業情報だけでは見えてこないことも、実際の職場を経験することで見えてきます。
また、自分の特性や強み、必要な配慮を整理しておくことで、就職後も働き続けやすくなります。
私たちは、一人でも多くの卒業生を送り出し、その方が職場で定着しながら充実した日々を送れることを、スタッフ一同の喜びとしています。
Aさんのように、一歩ずつ経験を積み重ねながら、自分らしい働き方を見つける方が増えていくことを願っています。
まとめ
Aさんの事例では、企業実習を通じて仕事内容だけでなく、働く環境や人との関わり方が就職先選びにおいて重要であることが分かりました。
就職活動では、「何をするか」だけでなく、「どこで、誰と、どのように働くか」を知ることも大切です。
また、企業実習は就職先を決めるためだけではなく、自分に合う働き方や必要な配慮を整理する機会にもなります。Aさんの場合は、その経験を通じてANSとの相性を確認できたことが、現在の就職につながりました。
ディーキャリア平井オフィスでは、一人ひとりの特性や希望に合わせて自己理解を深めながら、企業実習や就職活動をサポートしています。
自分らしく長く働ける職場を見つけたい方は、ぜひお気軽にご相談ください。
FAQ
Q1. 企業実習は必ず就職につながりますか?
企業実習は就職を保証するものではありません。実際の仕事や職場環境を体験し、自分に合う働き方や必要な配慮を整理することが主な目的です。
Q2. ANSで実習した場合、ANSへの就職が前提になりますか?
いいえ。ANSでの企業実習は就職を前提としたものではありません。実習を通じて仕事や環境との相性を確認し、その経験を今後の就職活動に活かしていただくことを目的としています。
Q3. AさんのようにASDやADHDがあっても事務職を目指せますか?
はい。特性や得意なこと、必要な配慮を整理しながら、自分に合った業務や職場環境を検討することで事務職を目指すことができます。
Q4. 企業実習ではどのような仕事を経験できますか?
実習先によって異なりますが、人事事務、経理事務、情報システム、広報、一般事務、PCキッティング、軽作業などを経験できる場合があります。
Q5. 自己理解はなぜ就職活動で重要なのでしょうか?
自分の強みや苦手なこと、必要な配慮を整理することで職場とのミスマッチを防ぎやすくなります。また、働き続けるための工夫やセルフケアにもつながります。
見学・相談のご案内
「働きたい気持ちはあるけれど、自信が持てない」
「自分に合った働き方を見つけたい」
このようなお悩みをお持ちの方は、ぜひ一度ご相談ください。
アンカーネットワークサービスが運営するディーキャリア平井オフィスでは、
就職に必要なスキルの習得だけでなく、
長く働き続けるためのセルフマネジメントや自己理解の支援も行っています。
見学・体験利用も受け付けています。
ご本人だけでなく、ご家族や企業担当者の方からのご相談もお気軽にお問い合わせください。
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